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大人になる・社会をつくる 若者の貧困と学校・労働・家族

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☆店長のひと言
「子どもの貧困は社会の貧困!」

内容紹介
「子どもの貧困」と「若者の貧困」のそれぞれの議論の架橋を試みる。今日の若年層が直面する構造的不利が子どもの貧困とどう関係するのか、若者が自己の人生と社会をつくる主体として生きることをどう保障するのか、多角的な議論がなされる。

目次
 「シリーズ・子どもの貧困」刊行にあたって[松本伊智朗]
 はじめに[谷口由希子]

第Ⅰ部 子どもの貧困と若者期を考える視点

第1章 子どもの貧困と〈学校から仕事へ〉の移行[杉田真衣]
 1 〈学校から仕事へ〉の移行をめぐる現状
 2 戦後日本の〈学校から仕事へ〉の移行の特徴
 3 移行の変容への政策的対応
 4 現在の課題

第2章 仕事をして暮らす[橋口昌治]
 1 「若者の貧困」を語ることはいかにして可能か
 2 戦後の生活・人生を支えてきたシステムの「変容」
 3 非正規雇用と過酷な労働環境の広がり
 4 多様な困難を抱えた若者と社会的排除
 5 若者支援政策の現状と課題
 6 社会をつくる――おわりにかえて

第3章 家族にまつわる不利と不平等――依存できない家族の中で大人になる[谷口由希子]
 1 若者を取り巻く社会状況と家族の関係
 2 依存できない家族
 3 家族にまつわる不利と不平等
 4 どうしたら自分の人生をつくる主体になることができるか
 5 おわりに――選択することと認め合うこと

第Ⅱ部 子ども期の貧困と「大人になることの困難」のかたち

第4章 障害とともに生きる若者[新藤こずえ]
 1 障害のある若者と子ども期の貧困
 2 不利を抱える家庭で育つ障害のある若者
 3 なぜ大人になることが難しいのか

第5章 ひきこもりと社会参加の課題――子どもと家族を取りまく孤立および「隠れ貧困」[川北稔]
 1 はじめに
 2 貧困と社会参加の関係
 3 家族会と生活困窮者窓口の事例から
 4 参加の保障と支援活動
 5 おわりに――ひきこもり対策の脱家族化に向けて

第6章 生活保護世帯の子どもの高卒後の進学をめぐる困難[林明子]
 1 子どもの貧困と大学進学
 2 世帯分離後の学生の生活実態
 3 世帯分離し進学した3名の事例
 4 大学や専門学校にコミットしない背景

第7章 社会的養護と当事者活動[永野咲]
 1 「選ぶこと・つながること・生きること」の困難
 2 人生をつくる
 3 社会をつくる
 4 これからの当事者参画に何が必要か

第8章 社会的養護につながる若者が直面する複合的不利――自立援助ホームの現場から[屋代通子]
 1 自立援助ホームとは
 2 自立援助ホーム利用者の抱える困難
 3 シーズ南平岸にくるまで――困難の背景にあるもの
 4 自立援助ホームが提供する支援
 5 大人になることの困難――誰が社会の仕組みを伝えるのか
 6 孤立を防ぐために――退居者の支援

第Ⅲ部 つながる・発言する・人生と社会をつくる

第9章 対談「主体としての若者」[杉田真衣×谷口由希子]
 1 「失われた世代」の一人として
 2 社会への異議申し立てを行う若者たち
 3 社会とつながる若者たち
 4 研究者の役割

 おわりに[杉田真衣]

前書きなど
「シリーズ・子どもの貧困」刊行にあたって

 「子どもの貧困」が社会問題化して、約10年になる。換言すれば、子どもの貧困問題が再発見されて約10年になる。この間、貧困率・子どもの貧困率の公表、法律の制定などに見られるように政策課題として認識されるようになった。また自治体での調査、計画策定などの動きも広がっている。この問題を主題にした多くの書籍が出版され、社会的関心は確実に高まっている。学習支援や子ども食堂など、市民レベルでの取り組みも多く見られるようになり、支援の経験が蓄積され始めている。
 一方で貧困の議論が常にそうであるように、子どもの貧困を論じる際にも、問題を個人主義的に理解し個人・親・家族の責任を強化するような言説、あるいは「子どもの貧困」と「貧困」を切り分け、問題を分断、矮小化する言説が見られる。また政策動向もそうした観点から、批判的に検討される必要がある。

 子どもの貧困の再発見から10年の現時点で、なされるべきことのひとつは、「議論の枠組み」を提供すべきことだろう。貧困と不利に関わる個々のエピソードの集合として、この問題が語られるべきではない。特に子どもの貧困は、貧困問題の一部であると同時に、その具体的な姿は「子ども」という社会的区分の特徴と関係して現象する。したがって、貧困研究の枠組みを子ども研究の視点から豊富化する必要がある。あるいは、子ども研究に貧困の視点を組み込んでいく必要がある。
 こうした観点を意識した研究は、少ない。この「シリーズ・子どもの貧困」は、この10年の議論の蓄積を踏まえて、子どもの貧困を議論する枠組みを提供する試みである。共有されるべき視点を、以下にあげる。

・経済的問題から離れない。経済的困窮を基底において貧困を把握する。
・社会問題としての貧困という観点をとる。個人的問題にしない。
・貧困問題を分断しない。子どもの貧困は、貧困の理解と対策を広げることばである。
・反貧困としての「脱市場」と「脱家族」の観点をとる。
・子ども期の特徴と関係させて構成する。
・政策と実践を批判的に検討する。
・全体として、「子どもの貧困を議論する枠組み」を提供する。

 各巻の主題と位置づけは、以下の通りである。

 (…中略…)

 第4巻『大人になる・社会をつくる』では、「子どもの貧困」と「若者の貧困」のそれぞれの議論の架橋を試みる。単に子ども期の不利が移行を困難にするという点のみならず、今日の若年層が直面する構造的不利が子どもの貧困とどう関係するのか、若者が自己の人生と社会をつくる主体として生きることをどう保障するのか、議論がなされる。

 (…後略…)

著者プロフィール
松本 伊智朗 (マツモト イチロウ) (編集代表)
北海道大学大学院教育学研究院教授。専門は教育福祉論、社会福祉論。雑誌『貧困研究』(貧困研究会、明石書店)編集長。主な著作に『子どもの貧困――子ども時代のしあわせ平等のために』(共編著、明石書店、2008年)、『貧困とはなにか――概念・言説・ポリティクス』(ルース・リスター著、監訳、明石書店、2011年)、『「子どもの貧困」を問いなおす――家族・ジェンダーの視点から』(法律文化社、2017年)など。

杉田 真衣 (スギタ マイ) (編著)
東京都立大学人文社会学部准教授。専門は教育学。主な著作に『高卒女性の12年――不安定な労働、ゆるやかなつながり』(大月書店、2015年)、『「子どもの貧困」を問いなおす――家族・ジェンダーの視点から』(共著、法律文化社、2017年)、『二十一世紀の若者論――あいまいな不安を生きる』(世界思想社、2017年)、『境界線上の法/主体――屈託のある正義へ』(共著、ナカニシヤ出版、2018年)など。

谷口 由希子 (タニグチ ユキコ) (編著)
名古屋市立大学大学院人間文化研究科准教授。専門は社会福祉学、児童福祉論。主な著作に『児童養護施設の子どもたちの生活過程――子どもたちはなぜ排除状態から脱け出せないのか』(明石書店、2011年)、『なごや子ども貧困白書』(共著、風媒社、2016年)、「社会的養護当事者の『声』――施設等退所後に困難な状況にある当事者たちに焦点をあてて」『子どもの虐待とネグレクト』第21号第4巻(共著、2019年)など。

ISBN 978-4-7503-4807-0 A5判 260頁
発行 明石書店
発売日 2020年4月1日

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