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恋と誤解された夕焼け
¥1,430
☆店長のロマンスなひと言 「恋に捕捉された流れ星」 紹介 コトバの最尖端を疾走し続けてきた詩人が新たな沃野に向かう第12詩集! 《だから空がとても赤く燃えている。ぼくは愛されたい。》――今、ここにいる私たちの魂の秘密は、詩のコトバによってしか解き明かすことができない。《どこからなら、きみを連れ去る神様の手のひらがやってきても平気か、教えて。水平線か、地平線?》生命と世界の光と影をあますところなく照らし出す決定的な43篇。 著者プロフィール 最果タヒ (サイハテタヒ) (著/文) 詩人。1986年生まれ。2006年、現代詩手帖賞受賞。07年、第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞受賞。14年『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞受賞。主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』『夜景座生まれ』『不死身のつもりの流れ星』『落雷はすべてキス』など。小説に『星か獣になる季節』『パパララレレルル』など。エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『「好き」の因数分解』『恋できみが死なない理由』『無人島には水と漫画とアイスクリーム』など、そのほかの著作に『千年後の百人一首』(共著・清川あさみ)、対談集『ことばの恐竜』、翻訳『わたしの全てのわたしたち』(サラ・クロッサン/共訳・金原瑞人)、絵本『うつくしいってなに?』(絵・荒井良二)などがある。 ISBN:978-4-10-353813-4 Cコード:0092 四六変型判96ページ 発行: 新潮社 初版年月日: 2024年5月30日
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第九の波
¥550
【中古 帯に小さな汚れ、表紙に少傷あり(画像参照)】 (参考:定価1,900円+税) ☆店長のひと言 「①権力と愛 ②男女の友情、成立するとしたらどっち?」 紹介 思わず息を詰めていた。市民の健康より利権や金を優先する政治と大企業、監視し合う人々……2012年の事件を題材とする本作のきな臭い空気がいまの日本に重なる。深呼吸するためには、主人公のように自らもがかねばならない。 ――小山田浩子(小説家) 東海岸の町、陟州をご存知だろうか。石灰鉱山にまつわる謎の死、カルト宗教団、原子力発電所の誘致をめぐる対立などが混在し、欲望が渦巻く陟州を。驚くほど詳細なディテールで描かれた、いまにも手が届きそうなほど鮮明で、恐ろしいほどリアルな陟州を舞台に、この地で苦しい思春期を送った3人が再び舞い戻り、繰り広げられる憎しみと羨望のドラマがゆっくりと浮かび上がる。しかし、何といってもこの小説が読者の胸を熱くさせるのは、彼らのラブストーリーだ。こんなにのめり込んだ悲しい愛の大叙事詩は久しぶりだ。さすが『目連正伝』を書いたチェ・ウンミだが、これが初めての長編小説だとは。驚きだ。 ――クォン・ヨソン(小説家・『春の宵』著者) この作品は、2012年、江原道にある町で実際に起こった事件をモチーフにしているが、ルポや告発小説とは異なる。ソン・イナ、ユン・テジン、ソ・サンファという主人公を通して、一見平和そうな田舎の小さな町の裏側を生々しく描く。そこには富の分配から疎外され、不条理な生活を強いられた人々がいる。著者のチェ・ウンミは、陟州を金と権力によって手中に収めようとする者たちが現れるのも、私たちの生きている社会に問題があるのではないかと問い続ける。 作品の最後の方でソン・イナが、荒波が押し寄せては引いていく陟州の海岸をゆっくり歩いていくシーンがある。『第九の波』は、それでも私たちはこの社会で戦いながら生きていかなければならないという、チェ・ウンミ文学らしいテーマを垣間見せてくれる。 『第九の波』というタイトルは、19世紀ロシアの海洋画家イヴァン・アイヴァゾフスキーの代表作から取っている。 著者プロフィール チェ・ウンミ (チェ・ウンミ) (著/文) 1978年、江原道インジェ生まれ。東国大学史学科を卒業したあと、仏学研究所に勤める。2008年『現代文学』の新人推薦に短編小説「泣いて行く」が当選し、作家としてデビュー。いま最も注目される作家の一人である。 小説集に『あまりに美しい夢』『目連正伝』、中編小説に『昨日は春』、長編小説には『第九の波』がある。2014、2015、2017年と続けて若い作家賞を受賞。本書『第九の波』は、緻密な描写力と卓越した洞察力が評され、2018年大山文学賞を受賞した。どの作品にも著者の仏教的な世界観が垣間見られる。 橋本智保 (ハシミトチホ) (著/文) 1972年生まれ。東京外国語大学朝鮮語科を経て、ソウル大学国語国文学科修士課程修了。 訳書に、鄭智我『歳月』、千雲寧『生姜』(ともに新幹社)、李炳注『関釜連絡船(上・下)』(藤原書店)、朴婉緒『あの山は、本当にそこにあったのだろうか』(かんよう出版)、クォン・ヨソン『春の宵』(書肆侃侃房)、ウン・ヒギョン『鳥のおくりもの』(段々社)、キム・ヨンス『夜は歌う』(新泉社)など。 (参考:価格: 1,900円+税) ISBN:978-4-86385-417-8 Cコード:0097 四六判384ページ 発行: 書肆侃侃房 初版年月日: 2020年9月17日
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性愛論
¥550
【バーゲンブック※】 (参考:定価900円+税) ☆店長のひと言 「性愛?シャイなのでよくわかりません。」 内容紹介 ひとはなぜ、愛するのか。身体はなぜ、もうひとつの身体を求めるのか。猥褻論、性別論、性関係論からキリスト教圏の性愛倫理とその日本的展開まで。永遠の問いを原理的に考察。 (河出書房新社ホームページより引用) 著者プロフィール 橋爪 大三郎 (ハシヅメ ダイサブロウ) (著/文) 1948年、神奈川県生まれ。社会学者。『はじめての構造主義』、『世界がわかる宗教社会学入門』、『世界は宗教で動いてる』、『ふしぎなキリスト教』(共著)、『ゆかいな仏教』(共著)など著書多数。 ISBN:978-4-309-41565-9 Cコード:0136 文庫判264ページ 発行:河出書房新社 初版年月日: 2017年9月6日 ※バーゲンブック(自由価格本)とは、出版社の意思で定価販売ではなく、割引販売できる未使用の本・雑誌のことです。通常本と区別するため裏表紙にシールが貼ってあります。
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話の終わり
¥1,780
【中古 状態きれい】 (参考:定価1,800円+税) ☆店長のひと言 「これ男女の立場逆だと共感が得られなくて話は終わり、、いや炎上な昨今。」 紹介 書くことをめぐる無二の長編 「翻訳の仕事をしていると、たまに「自分が今までに訳したものの中で一冊だけ自分が書いたことにできるなら何か」と質問されることがある。そんなとき、私はいつだって「『話の終わり』!」と即答してきた。それくらい私にとっては愛着の深い作品だ」(本書「訳者あとがき」より) 語り手の〈私〉は12歳年下の恋人と別れて何年も経ってから、交際していた数か月間の出来事を記憶の中から掘り起こし、かつての恋愛の一部始終を再現しようと試みる。だが記憶はそこここでぼやけ、歪み、欠落し、捏造される。正確に記そうとすればするほど事実は指先からこぼれ落ち、物語に嵌めこまれるのを拒む―― ミランダ・ジュライなど下の世代の作家にもファンの多い「アメリカ文学の静かな巨人」デイヴィスの、代表作との呼び声高い長編が待望の復刊! デイヴィス作品三か月連続刊行第一弾。 著者プロフィール リディア・デイヴィス (リディア デイヴィス) (著/文) 1947年マサチューセッツ州生まれ、ニューヨーク州在住。著書に『ほとんど記憶のない女』『分解する』『サミュエル・ジョンソンが怒っている』(白水Uブックス)、Varieties of Disturbance、Can’t and Won’tなど。プルーストの『失われた時を求めて』第一巻『スワン家の方へ』の新訳が高く評価されるほか、ビュトール、ブランショ、レリス、フロベールなどフランス文学の英訳者としても知られ、フランス政府から芸術文化勲章シュヴァリエを授与されている。2003年にはマッカーサー賞、2013年には国際ブッカー賞を受賞した。 岸本 佐知子 (キシモト サチコ) (翻訳) 上智大学文学部英文学科卒。翻訳家。訳書にL・ベルリン『掃除婦のための手引き書』『すべての月、すべての年』、L・デイヴィス『ほとんど記憶のない女』、M・ジュライ『いちばんここに似合う人』、G・ソーンダーズ『十二月の十日』、J・ウィンターソン『灯台守の話』、S・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』、N・ベイカー『中二階』『もしもし』、T・ジョーンズ『拳闘士の休息』、S・タン『内なる町から来た話』など。編訳書に『変愛小説集』『居心地の悪い部屋』『楽しい夜』など。著書に『気になる部分』『ねにもつタイプ』(講談社エッセイ賞)『死ぬまでに行きたい海』などがある。 ISBN:978-4-560-07245-5 Cコード:0297 新書判298ページ 発行:白水社 発売日: 2022年12月28日
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高慢と偏見
¥1,100
【中古 状態きれい】 (参考:定価1,100円+税) ☆店長のひと言 「え!?誤解から始まるラブロマンス??争いじゃなくて??」 紹介 幸福な結婚にはどんな人が理想の相手だろう。経済的理由で好きでもない人と結婚していいものだろうか。作家ジェーン・オースティンが亡くなってから200年たつ今日も、結婚を考える女性の悩みは変わっていない。皮肉屋で誤解されやすいが誠実なダーシーと賢いようでいてそそっかしいエリザベスの、誤解からはじまるラブロマンスは、いつ読んでもみずみずしく、オースティンの優れた人間観察に基づく細やかな心理描写は、ときおり毒もはらむが示唆に富み、幸福な気持ちにさせてくれる。この不世出の名作を、読みやすい典雅な新訳で贈る。愛らしい十九世紀の挿絵三十余点収載。 著者プロフィール ジェイン・オースティン(Jane Austen)(著/文) 1775年生まれ。イギリスの小説家。 作品に、『分別と多感』、『高慢と偏見』、『エマ』、『マンスフィールド・パーク』、『ノーサンガー・アビー』、『説得されて』など。 岸本 佐知子 (キシモト サチコ) (翻訳) 上智大学文学部英文学科卒。翻訳家。訳書にL・ベルリン『掃除婦のための手引き書』『すべての月、すべての年』、L・デイヴィス『ほとんど記憶のない女』、M・ジュライ『いちばんここに似合う人』、G・ソーンダーズ『十二月の十日』、J・ウィンターソン『灯台守の話』、S・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』、N・ベイカー『中二階』『もしもし』、T・ジョーンズ『拳闘士の休息』、S・タン『内なる町から来た話』など。編訳書に『変愛小説集』『居心地の悪い部屋』『楽しい夜』など。著書に『気になる部分』『ねにもつタイプ』(講談社エッセイ賞)『死ぬまでに行きたい海』などがある。 ISBN:978-4-12-206506-2 Cコード:1197 文庫判672ページ 発行:中央公論新社 発売日: 2017年12月22日
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傲慢と善良
¥710
【中古 カバーにやや擦れ等あり】 (参考:定価810円+税) ☆店長のひと言 「ずっと好きだけでいければいいのに。」 紹介 婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。《解説・朝井リョウ》 著者プロフィール 辻村 深月 (ツジムラ ミヅキ) (著/文) 一九八〇年、山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業。二〇〇四年『冷たい校舎の時は止まる』で第三一回メフィスト賞を受賞し、デビュー。一一年『ツナグ』で第三二回吉川英治文学新人賞、一二年『鍵のない夢を見る』で第一四七回直木賞、一八年『かがみの孤城』で第一五回本屋大賞を受賞。『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『島はぼくらと』『ハケンアニメ!』『朝が来る』『東京會舘とわたし』『琥珀の夏』など著書多数。 ISBN:978-4-02-265059-7 Cコード:0193 文庫判504ページ 発行:朝日新聞出版 初版年月日: 2022年9月30日
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小説の恋愛感触
¥1,100
【中古 状態きれい】 (参考:定価2,800円+税) ☆店長のひと言 「恋愛のことはよくわかりませんが、恋愛を善悪で語るのは野暮というのはわかります。」 紹介 小説が紋切り型の幸福を脱ぎすてて、物語からの夜逃げを企てたとき、剥き出しの「恋愛感触」が現れる。言葉が紡ぐ行き先のない快楽へと誘う、めくるめく批評体験。 目次 はじめに-切ない背理 性器なき地平で-松浦理英子『ナチュラル・ウーマン』 裸の固有性-松浦理英子『親指Pの修業時代』 わたしは犬になり、あなたはわたしになる-松浦理英子『犬身』 行き先のない快楽-多和田葉子『変身のためのオピウム』 視力の蜜度-星野智幸『目覚めよと人魚は歌う』 歪んだ文字-星野智幸『溶けた月のためのミロンガ』 恋愛を葬る-水村美苗『本格小説』 ヒロインの死-夏目漱石『虞美人草』 視線と復讐-高木芙羽『フラワービジネス』茂田眞理子『スキンディープ』〔ほか〕 著者プロフィール 内藤千珠子(ないとう ちずこ) 1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、大妻女子大学文学部日本文学科専任講師。専攻は近代日本語文学・文芸批評。著書に『帝国と暗殺——ジェンダーからみる近代日本のメディア編成』(新曜社、2005、2008年度女性史学賞受賞)。 (みすず書房HPより引用) ISBN:978-4-622-07519-6 四六判217ページ 発行:みすず書房 初版年月日: 2010年7月
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歌ー文芸ロマンー
¥420
【中古 状態きれい】 (参考:定価600円+税) ☆店長のひと言 「憧れの人を自分の世界で表現する、、、浪漫ですな。」 紹介 内容紹介 人生を謳おう! 愉しみも絶望も! あの頃の私は自分自身も漫画家として壁にブチ当たり、鬱鬱とした日々を…。その時、突然やってきたのが中原中也で、詩集を読んでいる最中、中原の心臓の音が聞こえました。その衝撃で描いたのが「歌」。 …この作品を描くことで、漫画は楽しいのだ、好きに描いていってもいいのだと、自分の中でやっと扉が開いたように感じます。〈筆者〉 著者プロフィール 松田 奈緒子 (マツダ ナオコ) (著/文) 漫画家。1996年デビュー。『えへん、龍之介。』『花吐き乙女』など独特の感性が光る作品を多数発表。2016年春にドラマ化された『重版出来!』で一躍人気作家に。2016年、デビュー20周年を迎えた。 ISBN 978-4-8342-3206-6 B6判 160頁 発行 ホーム社 発売日 2013年9月30日
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閉店時間
¥1,232
☆店長のひと言 「デパートは随分様変わりしましたが、人の恋愛観は変わらない?」 内容紹介 花形企業の東京デパートに働く紀美子、節子、サユリ。同じ高校の同級生仲良し3人だが、それぞれの職場の違いから、三者三様の仕事と恋の悩みがあった。仕事と女性の生き方を描く、傑作長編、初の文庫化! 働く女性の問題意識と生き方を模索する姿に共感! 花形企業の東京デパートに働く紀美子、節子、サユリ。同じ高校の同級生仲良し3人だが、配属された呉服売場、食料品売り場、エレベーター係という職場の違いも影響し、三者三様の仕事と恋の悩みがあった。仕事と恋愛を通して成長していく女性の姿を描く傑作長編。圧巻の面白さの元祖・お仕事小説、初文庫! ◎解説=山内マリコ 著者 有吉 佐和子 (アリヨシ サワコ) 昭和6年、和歌山市生まれ。東京女子短期大学英文科卒。昭和31年『地唄』で芥川賞候補となり、文壇デビュー。以降、『紀ノ川』『華岡青洲の妻』『恍惚の人』『複合汚染』など話題作を発表し続けた。昭和59年没。 (河出書房新社HPより転載) ISBN 978-4-309-41892-6 文庫判 600頁 発行 河出書房新社 発売日 2022年6月7日
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fishy
¥616
20%OFF
20%OFF
【中古 状態きれい】 (参考:定価1,500円+税) ☆店長のひと言 「真実や愛を求めるが故の生きづらさっていうのがあると思うんです。」 内容紹介 友愛でも共感でもなく、この刹那に集う女たち。作家志望のライター美玖、共働きで女性誌の編集をつづける弓子、インテリアデザイナーのユリ。都内きってのナンパ街となった銀座のコリドーで、三人は互いのプライベートに踏み込まない距離感を保ちながら、この場かぎりの「ともだち」として付き合いをつづけている。気ままな飲みともだちに見えるが、彼女たちが抱える虚無は、仕事でもプライベートでも、それぞれに深い。結婚したばかりの男に思いを寄せ、不倫によって日常が一変する美玖。サレ妻となった弓子は、夫の監視に疲弊しながら仕事と家庭と自尊心を守ることに必死だ。ユリの生活はリア充に映るが、まったく不透明で真実を見通すことができない。愚かしく、狂おしく、密やかに―彼女たちの日常にひそむ罠と闇と微かな光。女性の生き辛さと新たな連帯をを鮮やかに切りとる著者の到達点。 金原 ひとみ (カネハラ ヒトミ) (著/文) 83年東京都生まれ。03年『蛇にピアス』ですばる文学賞を受賞しデビュー。翌年同作で芥川賞、10年『トリップ・トラップ』で織田作之助賞、12年『マザーズ』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。 ISBN 978-4-02-251713-5 四六判 272頁 発行 朝日新聞出版 発売日 2020年9月7日
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伊勢物語 在原業平 恋と誠
¥550
【中古 状態きれい】 (参考:定価850円+税) ☆店長のひと言 「同著者『小説伊勢物語 業平』の補完的な作品。“雅”の新解釈。」 紹介 千百年前から伊勢物語は読み継がれ、ふるくから在原業平はプレイボーイの代名詞だった。業平の「色好み」とはいったいどういうものなのか??多くの読者を獲得している『小説伊勢物語 業平』の著者が自ら小説に紡ぐうちに浮かび上がってきた「雅」という人間力に迫る! 「英雄、色を好む」ということわざがある。現在ではセクシャルハラスメントになりかねないが、長らく続いた男尊女卑の社会では、それをよしとしてきたことを表すフレーズとも言える。英雄ではないにしても在原業平もしばしばこの文脈でプレイボーイの代名詞として人々の口の端にのぼってきた。しかし、業平の「色好み」は単に女性との性愛に執着することとは違うのではないか??見えてきたのは、現代にも通じる豊かな人間関係を構築できる能力だった。そして「雅」とはその能力に裏打ちされた人間的な余裕だとも。社会が多様性を認めることを人々に求める現代人にこそ、その優れたコミュニケーション力を、業平から学ぶところは大きい。 伊勢物語は恋愛の教科書ともしばしば言われる。つまるところ、男はいい女に育てられ、成長した男がいい女を育てる、それも思いを歌に詠むことによって。それゆえに言葉のコミュニケーション力の高さが求められる。その能力は恋愛以外の人生も豊かにするものになるだろう。 目次 平安時代の業平を理解するために 第一章 高貴なるものの責務−−ノブレス・オブリージュ 第二章 女性からの気づき 第三章 禁じられた恋、そして和歌を広める同志へ 第四章 男たちとの関係 第五章 巻き込まれた結果 著者プロフィール 髙樹 のぶ子 (タカギ ノブコ) (著/文) 作家 1946年山口県生まれ。80年「その細き道」で作家デビュー。84年「光抱く友よ」で芥川賞、94年『蔦燃』で島清恋愛文学賞、95年『水脈』で女流文学賞、99年『透光の樹』で谷崎潤一郎賞、2006年『HOKKAI』で芸術選奨、10年「トモスイ」で川端康成文学賞。著作は多数。芥川賞をはじめ数々の文学賞の選考委員を歴任。17年、日本芸術院会員、18年、文化功労者。 ISBN 978-4-532-26445-1 新書判 192頁 発行 日経BP 日本経済新聞出版本部 発売日 2020年10月27日